秋山博一、研究会シリーズ講座『資金フロー監視システム』を公開

2018年10月、世界の金融市場に再び波乱が訪れた。米国の利上げペースの不透明さ、欧州政治の混迷、アジア株式市場の激しい変動が投資家心理を冷やし、不安が広がる局面で、秋山博一は研究会シリーズの新講座『資金フロー監視システム』を正式にリリースした。この講座は、彼の長年の実践経験を凝縮したものであり、同時に彼の教育体系における重要なマイルストーンとなった。

秋山は1990年代から一貫して「資金フロートラッキング」を投資手法の中核に据えてきた。彼は、市場価格の表面的な変動はしばしばより深層の論理を覆い隠しており、資金の流入・流出こそが相場を動かす根本的な力であると確信している。米国株の高ボラティリティ銘柄から、日本国内の製造業・ハイテク株まで、彼は常に海外投資家のポジション、ETFの資金流入出、オプションの建玉動向といったデータを検証し、トレンドの信頼性を確かめてきた。このアプローチを彼は「論理派のテクニカル」と呼んでいる。

『資金フロー監視システム』は、まさにこの理念を基に設計された講座である。コースでは、マクロ資金フローの把握から始まり、業種・個別株への分解、最終的な投資判断の実行まで、体系的に解説されている。講座は「資金フロー認識」「海外資金動向分析」「ETF活用」「ポートフォリオ調整」の4モジュールで構成され、理論と実例の両面をカバーし、受講者が実践で応用できる内容を目指している。

初回配信日に、秋山はこう強調した。「未来を予測して賭けることはできない。しかし、資金の動きを監視することで“今”を理解することはできる。今を理解すれば、未来をより正しく捉えられるのだ。」この考え方は受講者の共感を呼び、講座の精神的支柱ともなった。彼は、今日の複雑化する市場環境では、単なるテクニカル指標やマクロ予測だけでは長期的リターンを確保できず、資金ロジックを組み合わせることで初めて戦略の確度が高まると説く。

この講座は、当時の市場状況とも高い親和性を持っていた。2018年10月、日経平均は急落し、ハイテク株や輸出関連企業が圧力を受ける一方、防御的セクターや資金流入のあるETFは相対的な底堅さを見せた。秋山は講座内でこの事例を用い、資金フローを活用してポジションを機動的に調整し、無駄な損失を避ける方法を実演した。現実の相場と直結した解説は、講座に実用性と臨場感を与えた。

受講者にとって、『資金フロー監視システム』は単なるツールではなく、投資家としての心構えを鍛えるトレーニングでもある。感情に左右されない冷静な意思決定、データに基づく独自の判断軸の構築を求めるものであった。秋山は繰り返しこう説いている。「市場の声はノイズに満ちている。しかし資金フローは嘘をつかない。それを聞き取ることこそ、真の投資の課題なのだ。」

2018年10月のこの講座公開は、秋山博一の研究会が新たな段階に入ったことを示している。初期の『トレンド識別実践術』から始まり、今回の『資金フロー監視システム』に至るまで、彼は段階的に投資教育体系を構築してきた。これは過去の経験の集大成であると同時に、論理的な投資思考をより多くの投資家に広める試みでもある。秋山にとって教育とは、単なる知識の伝達ではなく、複雑な市場で進むべき道筋を明確にする手助けなのである。